Kazha Imura photos and graphs

Kazha Imura photos and graphs

ORIGINAL PRINTS

2004年 寿限無 2004 -Super Multiple ArtProject- (ART BY XEROX主催/現代美術製作所, 東京)出展作品
Jugemu 2004 -Super Multiple ArtProject- (sponsored by ART BY XEROX/Contemporary Art Factory, Tokyo, 2004)

写真は常に複製として在る。被写体を起源=オリジナルとするならばシャッターを切るとき及びその後に発生する事物は全て複製物であろう。他者に伝えられるもの、つまり伝達しうる具体的な形となり表されるもの(例えば音声・文字等)は常に複製されたものであるとも言える。
第九交響曲のオリジナルが耳の聞こえないベートーヴェンの頭の中で鳴っていた音だとするなら、実際の演奏は全て、最早自筆譜すら複製物でしかない。
自分の名前を名乗るとき、今日まで全く同じ発声をした事があっただろうか。私の名(オリジナル)はどこにある。命名、と毛筆で書かれた文字なのか、手紙の末尾に記した文字なのか。新しい職場で自己紹介した音声なのか、病院で看護婦に呼び間違えられた音声なのか。
写真は被写体が必ずカメラの外部にあることからかオリジナルと複製の問題を大袈裟に見せる傾向があるように思えるが、日常的な会話でも動作でも他者に対する伝達を目的とした行為は、少なからず同じような複製作業なのではないだろうか。
ベートーヴェンがOKと言わなくても第九のよい演奏は沢山あるし、他人に名前を呼ばれたときでもその発音で自分を認識できる訳である。という考えから写真の作製を他者に委ねた上で、『オリジナルプリント』という作品名を付した。

素材:L版サービスプリント、アクリル製プレート、アルミフレーム
maerials: Japanese L-size color prints by DPE shops, acrylic name plate, aluminum frame

同一の1コマのネガからL版のサービスプリントを複数、作製する。(この作品では同時プリント時[現像時]のプリントを含め100枚作製。ネガは作者が撮影した海の写真を使用。)
プリントは全て、異なったラボにて色調・トリミングの指定はせず、「Lサイズを一枚、焼き増し」注文し作製する。
仕上がったプリントは作製順に並べて額装する。(この作品では同時プリント時のプリントを除いた99枚を額装。) 「ORIGINAL PRINTS」と文字の入ったプレートを付け、展示。